亡き娘のたった15年の人生
instagramからのメッセージから
今回の記事は、ご依頼者のご希望により掲載させていただいております。いじめ・自殺に関しての記事になっていますので、ご注意いただきご覧ください。
●52歳の女性の方
中学生の娘さんを自殺で亡くしてしまい、喪失感の中、少しの希望を探し続け筆文字の作品に出会っていただいたそうです。娘さんが亡くなってから1年後、自身の人生、子供の人生と向き合っていくと決断し、「前向きになれる作品」のご依頼をいただきました。
たった15年の短い人生
ご依頼者の離婚を機に引越しを馴染みのある街から離れていくことになった。子供は転校をすることになり、学校に馴染めずに不登校になりつつあった。
「せめて中学校までは。」
母親の願いは、中学校までは育て上げたい。そのあとは本人の望む人生を歩む力になりたいという想いがあった。
そんな思いは、子供も理解していたようです。何がなんでも卒業すると思い、馴染めない学校にも通い始めたのです。
しかし、クラスに馴染めないことがいじめの引き金となってしまうのです。
一日置きに登校すると、登校時には机にビニールテープで『✖️』と貼られていた。それでも茶化すわけでもなく、知らないふりをしている。
それは、日に日にひどくなっていく。
『死ね』『消えろ』『邪魔』
登校するたびに目にする。
学校帰ると、「頑張ったね!」と褒める母親。当然いじめがあることを言えるはずもなかった。
学校の先生に相談しても、「証拠があるのか?」と言うだけで解決にもならない。
中学3年生の秋
度重なる陰湿ないじめにより、学校からの帰宅の際に自ら命を絶ってしまう。
たった15年の短すぎる尊い命でした。
自殺の現状
2021年の自殺者数が2万830人となったことが警察庁の自殺統計(速報値)に基づく厚生労働省の発表で分かった。2年ぶりの減少。新型コロナウイルスの国内流行などが影響して09年以来の増加となった20年の確定値と比べ、251人減った。ただ、コロナ禍前の19年と比べると661人増えた。
小・中・高校、生徒の自殺数は過去最多
文部科学省の調査では、昨年度の全国の小中高から報告のあった自殺した児童生徒数は415人で、過去の調査開始以来、最多となった。
内訳は、小学生7名、中学生103名、高校生305名。前年度から98人の増加している。また小中学校での不登校の児童生徒数が19万6127人とこちらも過去最多。1クラスに1〜2人いるほどの増加となっている。
一方、小中高におけるいじめの認知件数は51万7163件。こちらは減少しているが、コロナ禍における児童生徒間の距離が離れていたことが要因と考えられる。
●文部科学省『24時間子供SOSダイヤル』0120-0-78310
今回の作品はこちらです。
あの日から
前に進めていないこともあるあの日を忘れない
ためなのかも
しれない。
母親の決意とけじめ。
救えたかもしれない尊い命。あの日、もし、気づいてあげていたら。。。
寝る前、朝目覚めた時に必ず思っていたことは、後悔ばかり。どんなに時間が経ってもこの後悔は消えないかもしれません。子供は帰ってこないのだから。
しかし、私に全てをさらけ出してくれたことで、自分の人生を一歩踏み出してくれたと強く思っています。いじめによって自殺する人を減らした思いは、少なくとも私の心を動かしました。
この作品を受け取られたご依頼者は、
「たった15年だったけど、一緒に生きてこれてよかったです。娘に出会えたことが、私の人生にとっては宝物です。」
とおっしゃってくれました。そして
「忘れることで前に進むことは、自分も娘の生き方も否定してしまうことです。だからずっとこれからも一緒に歩んでいきます。あの子が命をかけて伝えたかったことを私なりに伝えていきます。」
と前向きに自分の人生を歩んでくれるとお約束いただきました。
いじめと戦うのか、逃げるのか。
小学生や中学生がいじめと立ち向かうことが正義ように思っている人がいます。大人の一言で人生が左右されるような多感な時期に、いじめによって存在を否定されて、周りにいる大人にも見放され、家に帰っても孤立してしまう日々の中で、戦えというのは間違っている。
だって子供には選択肢がないからだ。前に向かっていく選択肢しかないのだから、『逃げる』というコマンドはない。
大人は、日々の生活の中で、いろんな選択肢の中で、挑戦したり、逃げたりできる。なのに子供にはそれを認めない。
理由は簡単です。自分が逃げずに立ち向かった経験しかないからだ。いじめられた経験があるのに、同じように経験させることしかできないんです。
大人が良くて子供はダメ!こんな意味のない考えは、私たち大人から持つをやめましょう。
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