前に進めない日だってある。
心の支えがほしい。
桜が蕾から花開くとき、いつもあなたを思い出す。
instagramからのDMでフォロワーの女性からご依頼がありました。
昨年亡くした彼氏への想いを作品にしてほしい。どうしても忘れられなくて毎日眠れないんです。だから忘れるのではなく、心の支えに出来るような作品を創ってください。
正直このオファーをお受けする時に、迷いました。
心の支えとなる作品でなければ、これからの彼女の人生にとってマイナスになる可能性があったからです。忘れるのではなく、自分の一部として生きていく決意を感じただけに、私自身も覚悟を決めてお受けいたしまいした。
人生で出会ったたった1人の運命の人
4歳の時、とびっきり活発でいつも元気な男の子と出会う。近所に住んでいたため、いつも一緒に遊んでいた。いわゆる幼馴染だ。
小学校も中学校も同じ学校、中学生になると部活の時間が増え一緒に遊ぶことも少なくなり、心の距離が離れていき、別々の高校に通ったことで顔も合わせなくなってしまった。
高校3年の春、卒業式を終え仲間とカラオケに行った時に偶然の再会を果たし、ケータイ番号を交換し、再び顔を合わせることとなる。そして1ヶ月後、彼女は想いを伝え付き合うこととなる。
車の免許も取り、ほとんど毎日一緒に出掛けるようになり、いつも将来の話をすることが1日の終わりのお約束になっていた。
「22歳になったら結婚しよう!」
彼氏から言われた言葉が嬉しかった。結婚式費用を2人で貯めるためにアルバイトを必死に頑張り、彼氏は大工の仕事に就き必死に頑張っていた。
付き合って4年目、2人は22歳になる年を迎え、桜が咲く季節に同棲することになった。毎日が幸せで結婚までのカウンドダウンが毎日の楽しみになっていた。
桜が散り、雨の日が多くなってきたある日
彼女の電話が鳴った。彼の職場からの電話。
「足場から落ちてしまい救急車で運ばれた」
突然の事態に戸惑いながらも彼女も病院へ向かった。今まで怪我なんてしたことがなかった人だから、どうせ骨折でもしたんでしょって思っていた。
高さ5mから足を滑らせ頭から落下、首の骨を折り即死だった。
当日の雨が原因だったらしいが、彼女は受け入れられずに蹲ったまま時間が過ぎていった。
春を迎えると、いつも彼を思い出す。人生で二度出会えた季節だから。
彼女は今年28歳、彼を失って6年が過ぎ、彼との時間を止めたまま生きていた。それじゃダメだってずっと思ってたからきっかけを探しているところ私の作品に出会っていただけたようです。
私は、虐待の被害者そして今加害者。無くなった子供の笑顔の理由は。
今回の作品はこちらです。
眩しい日々
目を閉じるのは
あの日のあなたに
逢えるから前に進めない日
だってある 。
前向きになれる作品を書こうと思っていました。
「踏み出そう」「一歩前へ」とか今の自分を超える言葉は、よく作品で使っていますが今回のご依頼の作品では、心にまだ生きている彼と共に生きていく彼女の強さと弱さを作品にしたいと思い、
「進めない日」という言葉を使いました。いろんなものを背負い人生を進んでいる彼女にとって立ち止まることも勇気なんです。ただただ時間が進んでいくことも怖さだったり、辛さがある。
だから立ち止まり後ろを振り返ることも彼女の大切な1日になるはずです。
この作品を通じて彼女の人生にもっと彩りが増え5年後も10年後も素敵な人生になることを心から祈っています。
大丈夫、左腕を失っても生きてるから。友人の命のメッセージ
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